自動運転バスの拠点に郵便局? 自動運転時代を見据えた都市機能の再定義
トヨタがWoven Cityを展開するなど、スマートシティの議論や実験的な取り組みが盛んに行われています。
都市生活におけるデジタル化が推進するにしたがい、どのように私たちの生活や暮らしがより良いものになるか期待したいところです。
交通面においては、昨今はMaaS(Mobility as a Service)と呼ばれるモビリティサービスが注目されています。オンデマンドによる交通手段や、アプリを活用して簡単に交通経路が調べられ、さらに予約もできてしまうなどが期待されています。
期待される自動運転技術
そうした未来のモビリティの議論には、もちろん「全自動運転」も入ってきます。自動運転が広がることで、身体に障害を抱える人も容易に移動できたり、交通事故の減少などにも期待されています。
また、ステイホームの広がりやECの浸透によって、配達や物流関係のニーズも高まっています。私たちが従業員送迎を提案している多くの企業も、物流や配送拠点といった、人の手が介在する必要性がある場所に、いかにして従業員を安心安全に移動させるかというところでご提案をさせてもらっています。
工場や拠点から荷物を配送する際、問題となってくるのがラストワンマイル問題です。そんなラストワンマイル問題を解消するために、海外では自動配送ロボットの開発や実証実験が積極的に行われており、実用化に向けて急速に進んでいます。
ラストワンマイルを担う配送ロボットは、屋内外を走行できる比較的小型サイズのロボットの需要が高く、すでに実用化されつつあります。
歩道や公道などを走るためには一定の許可が必要で、おそらく各地での実証実験が今後必要となってきますが、数百メートル、長くても数キロメートルの範囲を移動する、特定エリアに集中した配送拠点がうまく築くことができれば、日本国内でもサービスの実用化は現実味を帯びてきそうです。
自動運転バスの拠点としての郵便局
そうした際に現在注目されているのが、全国各地に点在するコンビニや郵便局です。
2021年2月には、総務省が開催した「デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会(第4回)」にて、「デジタル時代における郵便局の在り方に関する市町村の主な意見等」が提案され、その中に自動運転バスとともに、郵便局を自動運転の拠点とした意見が出されています。
▼デジタル時代における郵便局の在り方に関する市町村の主な意見等
https://www.soumu.go.jp/main_content/000733917.pdf
郵便局は、かつての国の郵便事業として全国各地に配送拠点や郵便局を設置したこともあり、現在は郵政民営化されてはいるものの、日本における郵便事業を大きく担う存在です。
郵便は日々の生活に欠かせない存在で、老若男女すべての人に関わりがあるものであることから、自動運転の拠点として大きな柱になりそうです。また、地方都市や過疎の地域では、郵便局は比較的街中に存在しますし、また、過疎地域同士で郵便局をつなぐルートは、貨客混載、いわば荷物も一緒に載せて移動することで郵便事業そのものも効率化することができるかもしれません。
現在の郵便局という街中に必要不可欠な拠点が、こうした自動運転の拠点という新たな価値を持つことの可能性はとてもあるかもしれません。
もちろん、今回の郵便局を活用するアイデアはまだアイデア段階のため実装されるかどうかはまだ不明ですが、これからの都市を考えたときに、今ある機能や役割を再定義しなおすことができるかもしれません。
<参照>
自動運転バスは「郵便局→郵便局」ルートが最適!?運行事業者とWin-Win | 自動運転ラボ https://jidounten-lab.com/u_post-win-win-route
自動運転時代の「コンビニ」「郵便局」、ラストワンマイルの物流コア拠点に | 自動運転ラボ https://jidounten-lab.com/u_lastonemile-core-place