レポート

房総最南端、一夜限りのワンダーランドをめぐるRVキャラバン 『ZIPANG 2017 フォトレポート』

千葉県船橋市でピックアップしたRVのドアを開き、眼下に望む太平洋と会場を眺め、遠くから鳴り響くフロアの低音が体幹を揺らす。その瞬間に今日はきっと忘れらない1日になる、そんな根拠のない予感。2017年6月24日から25日にかけて、100% Made in Japanを掲げた、アンダーグラウンドダンスミュージック&アートフェス「ZIPANG 2017」が千葉県南房総白浜フラワーパークにて開催された。

パーティは道中から始まっている。

記憶に残るパーティとはなんだろう。ラインナップ、タイムテーブル、ロケーション、これらはパーティの経験の質を決定的に左右する要因であることは間違いない。だが見過ごされがちな道中こそが、まさにパーティの方向性を導くイントロになり得るのではないか?今回BANANAでは、rural 2017で提供する限定RVツアー(http://bnana.jp/products/rural-2017-banana/)のドライランとして「ZIPANG 2017」RVツアーを主催した。

今回「ZIPANG 2017」に乗り込んだバナナクルーは6名。そのうち5名が、初対面にもかかわらず、瞬時に打ち解け、車内ではUNOで盛り上がる一幕も。RVの懐の深さがリラックスした雰囲気を醸し出していた。

悦楽のプールサイド 『ZIPANG Floor』

当日の空模様は、梅雨を象徴するような鉛色の雲が空を覆い、今にも雨も降らそうかという天候。だが会場に足を踏み入れ、メインフロアとなるZIPANG FLOORに訪れると、RITTO&OLIVEOILが生み出す熱帯感のあるグルーヴ、そしてプールサイドを彩る華やかな美女がオーディエンスの心模様を一変させたことに気がついた。

パーティにおけるビートと美女、これは男にとって永遠の命題である。テクノミュージックの最大の発明が規則的な反復性であるならば、ミリセカンドで変化し続ける美女の一挙手一投足は不確実性の産物であると言える。相反する性質を持つ美女とビート、それを同時に堪能することができるZIPANG FLOORの魅力ではなかろうか。ちなみに平等を期すためにいえば、イケメンもいた事を付け加えておこう。

ZIPANG FLOORではRITTO&OLIVEOILの他、深夜にはDJ NOBU、GONNOなど日本のテクノシーンを代表するDJ陣が登場した。メインイベント終了後に行われたアフターパーティ『Sunshine of ZIPANG』ではDachambo、RABIRABIといったこちらも日本屈指のジャムバンドが演奏し、パーティ終了まで冷めることのない熱狂を生み出していた。

遭難へと誘う 『JUNGLE FLOOR』

「ジャングルも彼の死を求めていた」フランシス・F・コッポラの大作「地獄の黙示録」においてカーツ大佐の死を認識し、ウィラード大尉が口にした一つの台詞。

うっそうと立ち並ぶ熱帯植物と、極彩色に彩られたデコレーション、空想の世界を思い起こされるアート、まさにこの空間は、我々の遭難を求めている、直感がそう語っていた。

この密林を現実と分け隔ている装置。それはMIRRORBOWLERによる光の多面体。ランダムに光を乱反射するこの装置は、ジャングルに迷い込んだものたちを統制し、時に幻惑させるトーテムとして機能していた。

長年のパーティで培った直感は裏切らない。

『JUNGLE FLOOR』では、ALTZ、CMT、Kihira Naokiといったまさにアンダーグラウンドミュージックの水先案内人達が、TW AUDiOのサウンドシステムを駆り、迷い込んだオーディエンスを熱狂へ、そしてさらにその奥地へと導いてくれた。明け方、CMTがモノトーンミニマルテクノの名盤DBX – Losing Controlをドロップすると、フロアには静寂の歓喜が訪れた。

レイブパーティの原点『UPPER FLOOR』

恐らく普段は単なるプレハブ小屋なのであろう『UPPER FLOOR』は、数時間前に会場入りした時とは、その姿を大きく変えていた。

ものは言い様だが、まさにここはウェアハウス。CK13によるサイケデリックなデコレーション、放射状に室内をスキャンするレーザー、立ち込めるスモーク、『UPPER FLOOR』の名にふさわしいアップリフティングな選曲。僕らをアッパーな世界にいざなうための十分すぎる演出がされていた。

圧巻だったのは、日本屈指のサウンドシステムと言える「Kannon Sound」。アンダーグラウンドテクノシーンを代表する女性DJ /プロデューサーでもあるKATIE SE7EN、MIND OFFを主催するDani Savant等のディープなテクノのみならず、DJ HATTA、Asteroidnos a.k.a Makioの攻撃的で硬質なトランスにも十分な鳴りを聴かせてくれた。

次のキャラバンへ

こうして「ZIPANG 2017」は幕を閉じた。昭和の遺構とも言える白浜フラワーパークの独特の世界観と相まって、100% Made in Japanの謳い文句を体現した素晴らしいパーティだったと思う。

良いパーティには、良い道中が欠かせない。それはおわかりいただけただろうか。過去にばかり思いを馳せても仕方がないので、未来の話をしよう。

BANANAでは、7月15日から17日にかけて行われる「rural 2017」でもこのRV(キャンピングカー)によるキャラバンを決行する。

「rural 2017」には「ZIPANG 2017」になかったものがある。一つは時間。二泊三日というまさにRVとパーティを堪能するのに最適な時間だ。二つ目は、オートキャンピング。この要素が揃ってこそ、アメリカ人をして、モーターホームと言わしめるRVの魅力を最大限に楽しめる。

「【5名限定】rural 2017 BANANAメンバーとキャンピングカーで行く!温泉、食べ物、キャンプを楽しむディープなテクノ旅(http://bnana.jp/products/rural-2017-banana/)」で新しいパーティの扉を開けよう。

Photo by Reiji Isoi

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