コラム

BANANAという、 地球を一つのクラブにしてしまうプロジェクトの話

音楽は時間芸術であり、体験だ。鳴らされた音は正確には二度と戻らない。

日々の生活も音楽と同じように、過去のものとして忘れてしまうにはあまりに簡単なほどに、速くすぎていく。

ソーシャルメディアは僕たちのコミュニケーションを変えた。 元来、ファストなコミュニケーション言語として機能していた音楽あるいは、ファッションはその役割を取って代わられた。だけど、音楽が消えてしまうことはない。あり方が変わるのだ。

BANANAは音楽のある場所をもっと面白くすること、アクセスする機会を増やすことに向き合う。 良き音楽があり、行きたい場所へ僕らは足を運ぶ。 その連続性により現場にいる人の数が増えると、音楽家の機会は増える。結果として、新しい時代の産業として成立し、文化は更新されるからだ。

日々みんな忙しい。音楽にふれる時間が減っているほどに忙しい。 だから、もっと気軽に色んな音楽にふれる機会を増やすために、 BANANAはただ足すのだ。足すことで体験を再発明しようと思う。

行きたい場所、触れたいもの、聴いてみたい音楽、そこへのアクセス機会がもっと増えるよう、 工夫をしたり、足りないものを足して、体験を再パッケージするプラットフォームだ。

新しい音楽を探す買物の仕方だって、バルセロナのフェスだって、 一人では簡単に実現出来なかった体験さえも、新しい出会いとともに、ここでなら叶う。 あなたを待ち、歓迎し、一緒に時間を過ごして、それを提供する。

渋谷の街が一つのレコードショップになること、日本が一つのフェス会場になること、 地球が一つのクラブになること。移動の時代の新しいエンターテインメントの形であること。

Amazonはワンクリックで好きなものが何でも買えるだろう。 BANANAではワンクリックで好きな体験を買えるのだ。 その全てが手元のスマートフォンから始まる。

ある少年のこと、おそらく世界中にありふれたタイプの、音楽好きの男の子のことを書いておこう。

12歳の頃に従兄弟のお兄さんの部屋で勝手に見つけたSEX PISTOLSをレコードプレイヤーのせてそこから流れるGod Save the Queenのギターリフに衝撃を受けて以降、 ギターをアンプにギターを寄せて起こすフィードバックノイズや、電子音のイーブンキックに喜ぶ、気持ちの悪い少年になった彼は、 ご多分に漏れずライブハウスに出入りするようになり、デカいバイクにまたがった怖いお兄さんや、学校では会ったこともない、キレイな長い髪の毛の、良い匂いのするお姉さんと出会い、その音楽はもちろん、 身につけているモノや、観た映画、通っている飲食店などを知るようになった。

そうして、大学生になった18歳には東京のクラブに出入りするようになり、 西麻布のYELLOWでは水のペットボトルを握りしめて、心から踊り、時間を忘れ、 表参道にあったMANIAC LOVEでははしゃぎすぎて眠り落ちし、網タイツのシャツを着たお兄さんの膝枕の上で朝起こされ、 BrooklynのクラブCameo Galleryでも酔いつぶれ、一緒にいた女の子に呆れられ、 BerlinのPanorama Barでは入場を拒否されたくないが故に、わざとらしさにも程があるレベルでシリアスな顔つきをしてみたり、 長野のTAICOCLUBでは緊張のあまり好きな子とあまり話が出来ず、一人で飲み倒してしまい、その後どうでもいいことしか言えなくなるなど……

まさしく、絵に描いたような、バカな若者である。

愚かで、とても非生産的で、不健康な、バカな若者である。

だけれども、彼の周りには彼を連れ出す友達や先輩がいた。そのおかげでとても素敵な体験を得てきた。

彼のまわりには音楽を通して出会った様々な人がいて、様々な価値観や、思想、感性、そして職業に溢れている。 そしてそれはとても豊かで幸せな状況なのだと彼は言う。

人生はどこかで終わりがくる。 知らないことに出会う価値や、素晴らしい作品にふれる喜びを彼は運良く知ったのかもしれない。

音楽は体験そのものであって、日々の生活におこることは音楽的である。 家族がいて、友達がいて、仕事があり、目的がある。 そして様々な価値に出会う場所がある。真ん中には音楽がある。 良い音楽との出会いとは、良き人生のメルクマークなのかもしれない。

音楽を通じた人間関係の拡張は、人生そのものを拡張する。 音楽が変化し続くように、人生もまた変化し続く。

音楽そのものを知らなくても構わないと思う。まずは出掛けてみよう。

入口にはBANANAがいて、あなたを案内してあげれる。そんなサービスでありたいと思う。

あぁ、長々と支離滅裂に書いてしまった。

まぁいい。 私たちは裏側でただ出来ることを進める。 どんな時だって主役は、体験する一人ひとりであって、それは僕であり、あなただ。

だから面白いと思ったら是非、参加して欲しいし、 あるいはそんな企画イケてない、面白い企画があるからちょっと来い。と声をかけて頂けたらと思う。

TEXT:Nishikido

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です