秘境祭2019のステージ
レポート

秘境祭2019 参戦レポート

  • 日時:2019年9月7日(土)~8日(日)
  • 場所:長野県 長者の森

これまで埼玉、山梨で開催されてきた秘境祭

昨年は諸事情により開催できなかったが、今年は新天地、長野県長者の森にて開催された。長者の森で秘境祭、そして約400人規模の小さめのフェス、とてつもなくアヤシイ興味深い。

私は今年初めての参加だったが、間違いない情報をくれるパーティ好きの友人たちに「めちゃくちゃ最高なやばいパーティがある」とオススメされていたので、今年こそは絶対に行こうと決めていた。ましてや私の地元、長野県での開催である。これは運命だ!と早速チケットを購入した。

友達を誘い、私を含めて3人で行くことになったのだが、3人とも車が無い。こんな時に便利なのがバスツアーだ。最近はバスツアーを用意してくれるフェスが増えた。都会に住む人で車を持っていない人は多いし、免許があってもペーパーだったり(私がまさにそう)、死ぬ気のぶっ通しで遊びてえ!だから帰り運転は危ない!なんて人にはとてもありがたい。

今回のバスツアーは新宿から。スケジュールはこんな感じ。

バス往路

  • 集合場所 新宿駅西口コクーンタワー前
  • 集合日時 9月7日(土) 09:45
  • 出発時刻 10:00
  • 到着時刻 14:00~15:00予定

バス復路

  • 集合場所 長者の森
  • 集合日時 9月8日(日) 15:00
  • 出発時刻 15:00
  • 到着時刻 19:00予定
  • 到着場所 新宿駅西口コクーンタワー前

バスツアーで秘境祭へ

メモリー観光の貸切バス
メモリー観光の貸切バス

いよいよ当日。丁度この時は台風15号が発生。週明け月曜には本州に上陸と、天気予報ではやっていた。秘境祭には影響は無さそうとのこと。頼むから速度あげたりしないでくれよって気持ちだった。

私は一緒に行く仲間の1人、A氏の家に前泊していたので、朝から2人ウキウキ気分で新宿に向かった。今まで1人でしかフェスに行ったことがなく、初めて仲間と行くことになりすごく楽しみだった。そしてこのA氏、実は初めてのフェスなのだ。

フェスや、ましてやキャンプに興味なんて無いと思っていたのだけど、1人でガンガンフェスキャンプしている私に影響されたのか?急に行きたい!!と言い始め、キャンプ道具を一式揃えてきた。バイブス高すぎる。めちゃくちゃ嬉しい。最高。

早めに着いたから、朝食を食べてコクーンタワー前へ。だんだんと秘境祭参加者だろうなーっていう人たちが集まってきた。

そしていよいよ出発。

予定の到着時刻は14時から15時。4時間ちょっと乗ってりゃ着く。遊び倒すために仮眠するか、お菓子でも食べながら友達と話してればあっという間じゃん。

じゃん……何かおかしい。

窓の外を見ると景色が都会のまま。というか全然進んでいない。Google Mapsで位置を確認する。正確な時間は忘れてしまったけど、もう東京を出ててもいい頃なのに国立より手前だった。

渋滞。よく聞くワードだけど、今まで運が良かったのか、経験したことがほぼ無かった。こいつが噂の渋滞か。地図上ではそう遠くない距離の道のりを現在地マークがめちゃくちゃゆっくりにしか進まない。みんなも渋滞にハマっている事態に気づいて「何時に着くんだろう……。」「テント張るスペースあるかな?」などと不安そうに会話している。

寝てる人や仲間と話している人もいるけれど、やはり暇である。そんな人のために、「何かDVDとか流せますか?」的なことを心優しいスタッフの人が運転手さんに相談している。どうやら車内に色々DVDがあるらしい。ありがたい。そして選ばれた1本目がこれ。

ルパン三世カリオストロの城

ルパン三世にわかな私でも知っている名作!

遊び倒すためにもバスの中では寝とこうと思ってたけれど、ついつい見ちゃうよね。本当に良い話だよね。最後の方、グッとくる。ルパンかっこいい。大人が見ても面白いってすごい。

カリオストロの城を見終わる頃には、渋滞は抜けていた。田舎に向かって穏やかな景色に変わっている。

ここで2本目のDVDがこれ。

天空の城ラピュタ

天空の城ラピュタ上映中の貸し切りバス車内

これまた名作!田舎道を走りながら、だんだん山感が増している景色の中で見るラピュタ、これは贅沢かもしれない。ラピュタは空に浮かぶ伝説の城。我々が向かっているのは秘境で行われる知る人ぞ知る祭。若干の繋がりを感じながらジブリの世界に浸っていた。

秘境祭 会場入り

そんなこんなで長者の森へ到着。時刻は16時くらい。予定より遅い到着ではあったけれど、ルパンとラピュタのおかげでなんてことなかった。ありがとう良いDVDを置いておいてくれて。のんびりDVDを見ながら会場に向かえるのもバスツアーだからこそかもしれない。渋滞も悪くないな、なんて思えたもの。

会場の長者の森はめっちゃくちゃ山の奥深くだった。途中までの山だな、という道からさらに奥に入った場所に位置する。バスを降りると、気温も空気も都会とは違うことに気づく。そしてスマホの電波も入りにくい。まさに秘境だ。これからどんな2日間が待っているのだろう。ドキドキしながらエントランスで受付を済ませる。会場のマップをもらい、手首にリストバンドをつけていざ秘境祭へ!

会場はこんな感じ。バンドステージのWONDER CIRCLE、DJステージのRiver Side Disco、室内ステージの天国酒場、サウナに温泉まである。

秘境祭2019の会場マップ
秘境祭公式サイトより

参加者はテント泊かコテージ泊だ。コテージが無い会場でのフェスもあるけれど、今回のようにコテージがあると、フェスへの参加ハードルがぐっと下がる。キャンプ道具はないけど参加してみたい、シャワーやキッチン、寝具がある快適な環境で遊びたい、そんな人たちもいるだろう。

秘境祭は、バスツアーがあって、コテージ泊ができる。けして、キャンプ道具を一式持っていて、自分で車を運転してくるツワモノだけの祭りじゃない。秘境でやるめちゃくちゃマニアックなフェスかと思いきや、誰でも参加しやすいウェルカム精神あふれるピースフルなフェスなのだ!

とはいえ、個人的にはテント泊が好きだ。買い集めたこだわりのギアをバックパックに詰める瞬間からワクワクする。テントの中のシュラフに潜って、外で鳴っている音楽や虫の声、人の話し声、風の音などに耳をすませている時間が良い。雨風をしのいではいるけれど、森と一体化している感じがする。日常では感じることのできない癒しがそこにはある。

まずはテント設営

秘境祭2019テント
テントサイト

数々のキャンプフェスに行って学んだことがある。とにかく会場に着いたら真っ先にテントの設営場所を見つけて基地を作るのだ。会場の広さ、参加人数にもよるけれど、テントをどこに設営するかでだいぶ快適にフェスを楽しめるかが決まるといっても過言ではない。

家族で過ごすからちょっとステージから離れていても広々スペースを使いたいという人、うるさくてもいいからとにかくステージの近くがよいという人、快適に休めるように平らな場所を選ぶ人、やたら端っこが好きな人。どこを選ぶかは人それぞれだが、自分の遊び方に適した場所に基地を作りたい。

私と友達2人は各々ソロキャンプ仕様なので、3つの1人用テントを立てれる場所を探す。思っていたよりスペースは空いていて、我々はWONDER CIRCLEとRiver Side Discoの間にあるCamp site Bに基地を作った。これで思う存分遊べる!

会場をうろうろ

時間はちょうど17時くらい。焚火 dub jointがかける気持ちの良い音楽が聞こえてくる。まだ空は明るいし、夜通し遊ぶぞ!の気持ちでいるので、夜に備えてのんびり過ごすことに。とりあえずマップを見ながら会場をウロウロ。

グリルチキン

色々な出店がある。タイ料理、インドカレー、たこ焼きといった食べ物のお店から、シルクスクリーンや整体などなど。フェスは音楽を楽しむだけじゃない。フェス飯を食べたり、何か気にいるものを買ったり、ワークショップに参加してみたり、様々な楽しみがあるのだ。

腹ごしらえ

私たちはお腹が空いていたので、とりあえず腹ごしらえすることにした。スパイスが大好きだから、タイ料理やインドカレーに惹かれる。私はAdwee Lalawee 2でガパオライス、友達2人は妄想インドカレー ネグラのカレーを買った。あとチャイ。

インドカレーネグラの屋台
妄想インドカレーネグラ

小川近くの段差に腰掛けて食べる。なにこれめちゃくちゃ美味い……。ガパオライスも、カレーも、とにかくめちゃくちゃ美味い!!特に辛いというわけではないのだけれど、スパイスが効いていて身体がポカポカしてくる。チャイも今まで飲んだことないくらいのスパイシーさ。身体が喜んでいるのがわかる!自然の中で食べているからさらに良いのかも。

森の中で音楽を聞いて、川のせせらぎを聞いて、澄んだ空気の中で食べるご飯。最強である。一口ひとくち噛み締めながら、身体の為になるご飯を大事にしようとか、作り手へは感謝しかないなとか、改めて感じちゃったよね。

踊る!!!

秘境祭2019のダンスフロア

お腹いっぱい、元気いっぱいになったので、ここからはメインイベント、「ひたすら音に酔いしれる時間」だ。ここからは、だいぶ記憶が無いくらいに酔っ払ったので、覚えてる限りを書くけれど……察してほしい(泣)

今年の秘境祭、アーティストとタイムテーブルはこんな感じ。

秘境祭2019タイムテーブル
秘境祭公式サイトより

はじめてフェスに行った時は、タイムテーブルが発表されると、一通り予習して、絶対見たいというアーティストにマーカー引いて、てな具合に計画を立てていたのだけど、これは大抵無視されることを知った。人によるとは思うけど、私の場合はなんとなく行きたいフロアに行く、ストライクだったらそこから動かない、みたいになってしまう。

計画を練り過ぎた旅よりも、行き当たりばったりの旅が好きなのに似ている。時間や予定に追われることが多い現代だからこそ、こんな非日常の世界くらい、その場の自分の気持ちで好き勝手に動きたいと私は思う。たまたま聞こえてきた音楽に感動できるって、ありそうで無い、運命的。

日も落ちて、日中とはまた全然違った顔を見せる会場。バンドステージの方に向かって歩くと、森の中にミラーボールがある。とっても幻想的。真っ暗な山の中だから、ライティングや、それに照らされたデコが映える。

天国酒場ステージ

バンドステージに行くと、CAT BOYSが演奏していた。あれ、このお兄さんたち、バスに乗る時にいたお揃いの「ACID JAZZ」と書いてあるTシャツを着た3人組じゃないですか!!バンド名は存じ上げていたけれど、まさか出演アーティストが同じバスツアーで来ているとは思っていなかった。そんな感じに、ゆるっとアーティストもツアーで来ちゃう。なんか同じ仲間じゃん、て感じがしてちょっと嬉しくなった。

空を見上げると今まで見たことのないような星空が広がっている。ミラーボールのキラキラした明かりが空まで広がったみたいで、とても幻想的。台風は近づいているらしいが、嵐の前の静けさとはこのことだろうか、風も少ない。

DJステージでは木をスクリーン代わりに、Light Showが。風がなくて木があまり揺れないからか、光が空中で止まっているみたいだった。DJの曲に合わせてどんどん変化して行く光が、空間を歪ませているみたいで不思議な感覚に陥る。めちゃくちゃ不思議で幻想的で格好良い。

秘境祭2019のステージ

ひたすら踊っては座って語り合ってを繰り返した。何を話したかあまり覚えていないけど、くだらない話から真剣な話まで、とにかくたくさんしたと思う。1人で行くフェスは完全な自由で、1人の世界に浸る楽しみがあるけれど、仲間と行くフェスは一緒にご飯を食べたり、語り合ったりできて楽しい。当たり前かもしれないけど、好きな仲間と好きな空間を共有できるって幸せだ。

そんなこんなで朝日が昇り始めたので、テントに戻って軽く寝ることにした。

秘境祭 2日目

9時からのRABI RABIが見たくて起きる。テントに入った瞬間に即寝した私は、4時間くらいの睡眠でもスッキリ目が覚めた。朝のRABIRABIは心が洗われるようだった。朝にふさわしい優しくて癒しの音。椅子を持って行って、のんびり座って聴いていた。

秘境祭2019のラビラビ
朝イチからラビラビ

死ぬほど踊って寝て起きると、ちゃんとお腹が空くものだ。がねいしゃのメニューを見に行くと、ポークビンダルーがある!ポークビンダルーは酸っぱ辛いカレー。私の大好きなカレーランキングベスト3に入るカレーである。そしてこのがねいしゃ、別のフェスで出店していた時にカオマンガイを買ってみて、とても美味しかったので間違いないぞと。そして食べたポークビンダルー、私の大好きな、ちゃんと辛いやつだ!清々しい朝に、癒しの音楽を聴きながら食べるカレー。最高。力がみなぎってくる!またもやスパイスの力で元気モリモリだ。

RABIRABIの時間はまだ寝ていたA氏も起きてきて、彼女はまた昨夜のカレーを頼んで食べていた。カレーとチャイの組み合わせにハマったようだった。すっごく気持ちはわかる。最高だもんな。

帰りのバスは15時に出発予定。1日目にめちゃくちゃ遊んだので、2日目はのんびり過ごすことにした。

私はやりたかったシルクスクリーンのお店に行って、持ってきた白いシャツにプリント。別のフェスで前側にプリントしたので、後ろの右肩に小さめのデザインを入れてもらった。クタクタになった無地の服も、お気に入りのデザインで生まれ変わる。すっごくお気に入りの1着になった。

1日目に入らなかった小川に素足で入ってみたりもした。めちゃくちゃ冷たくてびっくり。疲れとかむくみとかが一瞬で無くなるような冷たさ。ずっと入っているのはしんどいけれど、たまらない心地よさで何度も入ったり出たりしていた。「会場に着いたら温泉はいって、翌日もシャワー浴びる」と言い張っていたA氏が、裸足で芝生の上を歩きまわり、川に入って「最高!」と言っている。それもすっごく気持ちはわかる。

いよいよ台風が来ているんだろう。雲行きも怪しいので、早めにテントを片付けて、秘境祭のオーガナイザーのDRAMATICBOYSでラストダンス。こんなB2Bができたら楽しいだろうな、と見てて思った。だって2人がすごく楽しそうなんだもの。「多幸感追究型アウトドアパーティー秘境祭」とWEBサイトの紹介にあるのだけど、まさにそうだと思う。この満たされたハッピーな気持ちが「多幸感」てやつなんだろうな。

帰りのバスへ

貸切バスのフロントガラス

15時。予定の時刻になったのでバスに向かう。するとそのタイミングで雨が降り始めたではないか。これにはびっくり。あんなに晴れて素晴らしい星空を見せてくれて、楽しませてくれて、終わったとたんに土砂降りである。奇跡としか言いようがない。何かあるようにしか思えない。

帰りのバスではまた、DVDが。行きで最後まで見きれなかったラピュタを見て、そのあとはこれ。

千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠しDVDを観る貸し切りバス社内

これまた名作!帰りは疲れもあるから寝ていこうと思っていたのに、割と真剣に見てしまった。ジブリをあまり見たことがないと言っていた友人も、「ジブリっていいね」と言っている。アニメなんて見ないぜ、みたいな人でも、ちゃんと見たら大体感動するのがジブリ。ジブリはすごい。

多幸感しかなかった秘境祭

帰りは行きみたいな渋滞はなくて、すんなりと新宿に着いた。土日の穏やかでピースフルな世界は夢だったのかと思うくらいの空の暗さ。終わったんだな、秘境祭。帰って来ちゃったんだなと、すでに秘境祭ロスに陥っていた。

A氏の家にまた泊まったので、帰宅してからはひたすら秘境祭について語りあっていた。

「最高」「感謝」というワードがめちゃくちゃ出てくるんだよな。何回も言ったと思う。野外フェスでキャンプしていい音を聞いていると、自然との繋がりを感じたり、全てにありがたい気持ちになったりするのだ。みんな笑顔だし、そこにはラブとピースしかない。

音楽だけじゃダメなんだよな、と。自然という地球が与えてくれた素晴らしい環境、それにデコだったり、VJだったり、出店だったり、環境以外は全て人の力が必要なのだ。

「秘境祭」という祭りを最高な祭りにするために、同じ方向を向いて頑張ってくださったスタッフの方々に感謝である。小さかろうと大きかろうと、テーマがしっかりしていて、皆の作りたいパーティ像が一致しているものは、良いパーティになるのだと思う。そして良いパーティには良い人が集まって、その日だけの最高に幸せな街みたいなものができあがる。1年に1度現れるその街にまた出かけたい。

秘境で行われる祭りは、「多幸感」を存分に感じることのできる、素晴らしい祭りだった。

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